MAPO堂

最終決定は存在しない。

人間観察の賜物。モーム傑作選

以前読んだモームの「月と六ペンス」が結構面白かったので、他の本も買ってみました。

結論としては、さらにおもしろかった。

ジゴロとジゴレット: モーム傑作選 (新潮文庫)

ジゴロとジゴレット: モーム傑作選 (新潮文庫)

傑作選というだけあって、どの短編もおもしろかったのですが、「ジェイン」という短編の中の一節を紹介します。

「(前略)でもそのうちわかってきたの。これは、あたしがほんとのことをいうからだって。ほら、ほんとのことをいう人って、ほとんどいないじゃない。だからおかしくきこえるのよ。そのうちだれかがそれに気づく日がやってくる。そうすると、みんながいつもほんとのことばかりいうようになる、そうなったら、ほんとのことだって、ちっともおかしくなくなっちゃうわ」

「じゃあ、なんで、わたしだけがそれをおかしいと思わないのかしら?」ミセス・タワーがきいた。

(中略)

「それは、お姉さまが、ほんとのことをいわれても、ほんとだってわからないからじゃない?」ジェインはいつもの、ほがらかで、やさしい口調でいった。

まさに真実をついていて、ミセス・タワーは何もいえなかった。ジェインの言葉は常に、真実をついている。じつにまれなユーモアのセンスのある人だと思う。

ジゴロとジゴレット: モーム傑作選 (新潮文庫) , サマセット モーム (著), William Somerset Maugham (原著), 金原 瑞人 (翻訳)

過去の記事

mapodou.hatenablog.com

思いつきで、デンパークで開催中のTeam Labのお絵かき水族館に行ってきました。(12/31まで)

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仕事納めの日の夜から、ギックリ首でいまいち動けなかったのですが、痛みがやわらいできたので、ちょっと気になっていたチームラボのイベントに行ってきました。

www.team-lab.com

キャッチ(愛知県西三河地方のケーブルテレビ)がスポンサーなんですね。なんかいいですね。

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浮遊する球体

たくさんあったのですが、浮遊していたのは少なかった。 触ると色が変わる。触らなくても時間が立つと変わる。

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お絵かき水族館

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  1. 魚類の枠が書かれた紙を選んで、クレヨンで色を塗ります。
  2. カメラでスタッフにスキャンしてもらう。
  3. 水槽となるスクリーンに、登場。
  4. 追いかけて、触る。逃げられるので、また探す。

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こんな感じで、触ると逃げていきます。上のでっかいプロジェクターあたりで、何かを検出しているのかな。

2才の我が子のイカ。あまりにイカしてたので記録。

おまけ

このイベントとは関係ないですが、毎年恒例のイルミネーションもきれいです。

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まとめ

お絵かき水族館で自分の家族の絵が泳ぎだすと、思わず追いかけてしまいます。 他の子供達の絵も色々個性があって、見ていると癒やされます。

屋外展示でめちゃくちゃ寒いので、行かれる方は手袋・帽子お忘れなく。

「月と六ペンス」読書ログ

序盤だいぶ読むのが苦痛だったけど、ストリックランドが家を出た辺りから面白くなってきて、一気に読めました。

何もかける気がしないので、気になった所だけ。

労苦は人を高潔にするというが、それは嘘だ。幸福は時によって人を立派にすることもあるが、おおかたの場合、労苦は卑劣で意地悪な人間を作り出すだけだ。(月と六ペンス (新潮文庫), William Somerset Maugham, 訳:金原 瑞人)

ほう。報われない苦労をする人が多いということだろうな。

小説はあくまでも作り物だ。たいていの男にとって、愛は日常の雑事のひとつでしかない。小説の中ではさも重要であるかのように誇張されるが、現実にはそうではない。世の中には愛こそすべてという男もいるにはいるが、そういった連中は魅力に欠け、愛に最大の関心を払う女からさえ見下される。女は色恋好きの男におだてられると楽しい気分を味わうが、実際は、つまらない男だと不満に思う。男はたまに恋に落ちたときでさえ、恋愛以外のことに興味を抱く。生活費を稼ぐため仕事に集中し、スポーツに熱中し、芸術にも夢中になる。男はたいていいろんなことに首をつっこんでいて、そのうちのひとつに集中しているあいだは別のことを忘れることもある。関心のあるものに夢中になっているとき、別のことに邪魔をされるとうんざりする。愛における男女の違いがここにある。女は一日中愛していられるが、男はときどきしか愛せない。(月と六ペンス (新潮文庫), William Somerset Maugham, 訳:金原 瑞人)

今からすると差別的発言かもしれないが、そう思わなくもない。

月と六ペンス (新潮文庫)

月と六ペンス (新潮文庫)