以前読んだモームの「月と六ペンス」が結構面白かったので、他の本も買ってみました。
結論としては、さらにおもしろかった。
- 作者: サマセットモーム,William Somerset Maugham,金原瑞人
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2015/08/28
- メディア: 文庫
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傑作選というだけあって、どの短編もおもしろかったのですが、「ジェイン」という短編の中の一節を紹介します。
「(前略)でもそのうちわかってきたの。これは、あたしがほんとのことをいうからだって。ほら、ほんとのことをいう人って、ほとんどいないじゃない。だからおかしくきこえるのよ。そのうちだれかがそれに気づく日がやってくる。そうすると、みんながいつもほんとのことばかりいうようになる、そうなったら、ほんとのことだって、ちっともおかしくなくなっちゃうわ」
「じゃあ、なんで、わたしだけがそれをおかしいと思わないのかしら?」ミセス・タワーがきいた。
(中略)
「それは、お姉さまが、ほんとのことをいわれても、ほんとだってわからないからじゃない?」ジェインはいつもの、ほがらかで、やさしい口調でいった。
まさに真実をついていて、ミセス・タワーは何もいえなかった。ジェインの言葉は常に、真実をついている。じつにまれなユーモアのセンスのある人だと思う。
ジゴロとジゴレット: モーム傑作選 (新潮文庫) , サマセット モーム (著), William Somerset Maugham (原著), 金原 瑞人 (翻訳)