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最終決定は存在しない。

「月と六ペンス」読書ログ

序盤だいぶ読むのが苦痛だったけど、ストリックランドが家を出た辺りから面白くなってきて、一気に読めました。

何もかける気がしないので、気になった所だけ。

労苦は人を高潔にするというが、それは嘘だ。幸福は時によって人を立派にすることもあるが、おおかたの場合、労苦は卑劣で意地悪な人間を作り出すだけだ。(月と六ペンス (新潮文庫), William Somerset Maugham, 訳:金原 瑞人)

ほう。報われない苦労をする人が多いということだろうな。

小説はあくまでも作り物だ。たいていの男にとって、愛は日常の雑事のひとつでしかない。小説の中ではさも重要であるかのように誇張されるが、現実にはそうではない。世の中には愛こそすべてという男もいるにはいるが、そういった連中は魅力に欠け、愛に最大の関心を払う女からさえ見下される。女は色恋好きの男におだてられると楽しい気分を味わうが、実際は、つまらない男だと不満に思う。男はたまに恋に落ちたときでさえ、恋愛以外のことに興味を抱く。生活費を稼ぐため仕事に集中し、スポーツに熱中し、芸術にも夢中になる。男はたいていいろんなことに首をつっこんでいて、そのうちのひとつに集中しているあいだは別のことを忘れることもある。関心のあるものに夢中になっているとき、別のことに邪魔をされるとうんざりする。愛における男女の違いがここにある。女は一日中愛していられるが、男はときどきしか愛せない。(月と六ペンス (新潮文庫), William Somerset Maugham, 訳:金原 瑞人)

今からすると差別的発言かもしれないが、そう思わなくもない。

月と六ペンス (新潮文庫)

月と六ペンス (新潮文庫)